山梨県民が寿司が好きな理由
ある調査によると、山梨県の人口当たりのお寿司屋さんの数は全国一位とのこと。
10万人当たりのすし店数
1位 山梨県38.1
2位 石川県33.5
3位 東京都32.7
45位 鳥取県13.8
46位 沖縄県11.3
47位 高知県10.9
これは10年近く前の調査ですが、この結果を見たとき、正直意外でした。
僕は山梨生まれの山梨育ちで、20年近く住んでいましたが、僕が住んでいた地域の問題なのか、それほど寿司屋が多いというイメージはありませんし、山梨県民が寿司が大好きだという印象も特にありません。
ほとんど寿司屋に行ったこともありません。
ただ、僕は寿司が好きですし、誕生日などお祝い事となると家族では大抵お寿司の出前はとります。家で食べるなら、寿司か、ピザです。
外食の場合は、焼肉屋が多かった記憶があり、お寿司屋さんは回転寿司にときどき行くくらいでした。
あとは親が買い物をしてくるときに、ちょっとした寿司や刺身を買ってくることは多いです(考えてみると、刺身は結構食卓に並ぶことは多かった気がします)。
当然ですが、山梨県は「海なし県」です。山に囲まれた地域で、海の匂いは一切しません。
だから、お寿司屋さんが好きと言うよりも、海そのものへの憧れがものすごく強いです。山梨に住んでいると感じるのは、山の圧倒的なデカさです。
富士山以外もみんなデカイ
甲府辺りから見ると周囲が四方八方ものすごい山々に囲まれているので、守られている安心感がある一方で、ちょっと逃げられないな、と子供の頃に観念した記憶があります(教室にいて、学校を抜け出したいな、と思っても、窓の向こうには三千メートル級の山々がそびえ立っているのですから、その圧倒的な存在感は半端ないです)。
だから、海や水平線の風景に憧れていて、大きくなってひとり旅をしたり県外で暮らし始めたときには、遠くから海の匂いがしたり水平線が見えてくると、思わず駆け出したくなりました。
山梨県民が寿司や刺身が好きな理由というのも、こういう「海」の特別感が味わえるからなのかもしれません。
また、歴史的に見ると、甲府という地域は、海辺から内陸に腐らせずに生魚を人力や馬で運ぶことのできたぎりぎりの距離「魚尻線」だったそうです。
駿河湾で獲れた魚は最短で行くと甲府まで一晩で着き、途中も標高が高く夏でも涼しいこともあり、一年中魚を運ぶことができたと言います(参照 : 海のない地域に残る「海魚の食文化」)。
そう考えると、山梨県民の寿司好き、魚好き、というのは結構昔からある食文化のようです。
ただ、自分自身が基本、他の県でどれくらい寿司が好きか、というのが分からない(みんな寿司が好きで、祝い事は寿司が多く、お刺身も好きだと思っている)ということもあり、余計にこの「山梨で寿司屋が多い」というのは意外でした。
ちなみに、一人当たりの寿司の消費額だと栃木県の宇都宮市が一位。栃木県も「海なし県」なので、やはり海への憧れも関係あるのでしょうか。