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山梨の方言(甲州弁)

甲州弁「こわい」の意味

甲州弁「こわい」の意味

山梨の方言である甲州弁では、食べ物に関して、「こわい」という表現を使うことがあります。

この「こわい」というのは、方言で「固い」という意味で、ご飯が固くなってしまっている状態などを、「ご飯がこわい」と表現します。

ご飯がこわい、と言うと、恐怖するほうの「怖い」を連想するかもしれませんが、固いほうを意味する場合、漢字で書くと「強い」になります。

山梨に生まれ育って、山梨では20年ほど生活してきましたが、僕自身は、ご飯などが固いことを表現する際に、「こわい」という方言を使うことはほとんどありませんでした。

同級生が使っていることも聞いたことがありません。

こわいという表現は、基本的に同居していた祖母が使っていた言葉で、両親もほとんど使っていなかったと記憶しています。

固い状態を指して、「こわい」と言うのは、主に昔の人が使う言葉という印象です。


また、この「こわい」という表現は、必ずしも山梨県に限った方言ではなく、結構各地で使われているようです。

たとえば、長野県や富山県、名古屋や、関西地方などでも、固いことをこわいと表現するそうです。

そもそも、この表現自体は、必ずしも一地域で使われていたものと言うわけではなく、古語として広く浸透していたと言われています。

こわい(強い・Kowai)は、
1. 硬い(かたい)ことを表す言葉。食べ物では、ご飯や肉などによく用いられる。古語(女房言葉)であり、かつては広く使われていたが、現代では関東地方や中部地方、関西地方、北陸地方、四国地方の一部地域などで限定的に用いられている。

出典 : 日本の食べ物用語辞典

確かに、考えてみれば一般的に「おこわ」という料理に関する用語があります。

おこわは、もち米を蒸した飯を意味し、漢字で書くと「御強」になります。このおこわという言葉は、「強飯こわめし」に由来します。

こういった状況を見ても、「ご飯がこわい」といった表現は、もともと一部の地域に限った限定的なものではなかったのでしょう。

古語と方言の関係性や、方言の定義はちょっと分かりませんが、基本的には古語として使用され、一部の地域で方言として残っている、ということなのでしょう。

また、別の地域では、「疲れた」という状態を表す際に「こわい」という表現を使うことがあります。

この方言は、一体どこで使われているのでしょうか。

たとえば、茨城県や栃木県、北海道などで、「疲れた」「しんどい」というのを「こわい」と言います。

なぜ、「疲れた」が「こわい」になるのかと言うと、その由来は、「固い」を意味する「こわい」と同じのようです。

栃木県佐野市のホームページには、次のように「疲れた=こわい」の由来に関する解説があります。

コワイには、「この飯はコワクって食べらんねー」のように、「硬い」という意味があります。疲れたという意味のコワイも、硬いという意味のコワイも、「筋が突っ張って硬くなる、硬直する」というもとの意味が変化したものです。登山をして疲れると、足の筋肉が硬くなる(こわばる)のでコワイというようになりました。同じように飯が硬いこともコワイというようになりました。コワイには、いずれも「強い」という漢字を当てています。

何がコワイの? 佐野市

体が凝り固まっている状態の「固い」ということを、「こわい」と言うようになったことに由来するということなのでしょう。

ちなみに、山梨県の方言では、「疲れた」ことに関して、「こわい」という使い方をすることはありません。


山梨で「疲れた」という場合は、地域の言葉では、「えらい」や「けったりぃ」などが使われます。

以上、方言で使われる「こわい」の意味でした。

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