甲州弁「てっ」の意味
山梨県の方言「甲州弁」に、「てっ」という言葉があります。
これは、冒頭や単独で使用し、「てっ!」と言い、「あれっ!」「えっ!」といった驚きの意味合いになります。
たとえば、魚釣りに行き、たくさん釣って帰ってきた魚を見て、「てっ! えらいたくさん釣ってきたじゃんけ(まあ! すごいたくさん釣ってきたもんだね)」などと言います。
同じような意味で、「てぇー」と伸ばす場合もあります。
伸ばした場合は、「へー」「あれまー」「ほー」と少し柔らかな驚きや羨ましさを表現します。
先ほどの文章を例に、二つの違いを解説したいと思います。
①「てっ! えらいたくさん釣ってきたじゃんけ」
②「てぇー、えらいたくさん釣ってきたじゃんけ」
状況や表情、発音の強弱にもよりますが、①「てっ!」は、驚きが大きいニュアンスです。「すごいね!」という多少ポジティブなニュアンスがあります。
一方、②「てぇー」のほうは、若干、呆れ気味で、「またすごいたくさん釣ってきたね」という風にも解釈できます(純粋に、感嘆のため息交じりに使われる場合もあるかもしれません)。
この言葉は、ちょっと言い換えが難しいかもしれません。
祖母は普段の会話のなかでしょっちゅう使用していましたが、両親が使っているのはあまり聞いたことがありません。
若者同士でも、使っている場に遭遇したことはありません。
ただ、僕自身は、子供の頃から祖父母と一緒に暮らしていたので頻繁に聞く方言の一つではあります。
甲府市のホームページにある、よく使う甲州弁ランキングでも「てっ」は16位に入っています。
どうも他の県では使っていないようです。