無尽のメリット・デメリット
山梨県には、独自の飲み会文化として「無尽」があります。
無尽とは、ある一つのグループで定期的に食事会をし、その際、食事代以外にお金をちょっとずつ出し、順番に一人がもらったり、ちょっとずつ積み立てて、ある程度たまったらみんなで旅行に行く、といった仕組みになっています。
古くは互助扶助の民間金融制度だった無尽が、徐々に飲み会や旅行などエンタメ性を帯びていったようです。
友人が多ければ、一人で複数の無尽を掛け持ちしているひともいます。
山梨県では日常的に、「無尽」という言葉が使われ、必ずしもお金を払うというだけでなく、定期的な飲み会を無尽と呼んでいるだけの場合もあります。
さて、この無尽に関し、山梨放送で流れているマキタスポーツさん(山梨出身)の番組『マキタ係長』で取り扱っていた際、県民のあいだで聞いた無尽のメリットとデメリットが挙がっていたので紹介したいと思います。
メリット
画像 : マキタ係長|山梨放送
まず、無尽のメリットとしては、仲良しの仲間といつまでも繋がりが保てる、というのが大きいようです。
連帯感が生まれ、ストレス発散になり、高齢になっても友人と関わりが途切れない、というメリットが挙がっています。
山梨が健康寿命日本一の理由に、この無尽が関係あるとも言われています。
また、「無尽だから」と言えば気兼ねなく飲み会に参加できる、という良さもあると言います。
飲み会というと眉をひそめる家族も、「無尽だから」と言うと、「無尽なら仕方ない」となるという声も。
デメリット
画像 : マキタ係長|山梨放送
一方のデメリットとしては、そのコミュニティの息苦しさ、というのが挙げられます。
面倒、行きたくない、関係が悪化すると気まずい、という理由も。
その他、お金の面の苦労として、出費が痛いという意見以外に、積立金を持ち逃げされた、というトラブルの声もあります。
この無尽、顔の見える繋がりとして、信頼できるコミュニティを築き、相互扶助の仕組みでありながら、同時に相互監視的な意味合いもあると考えられています。
それぞれが、顔見知りとして定期的に繋がることで、安定した関係性を築く、という面があるのでしょう。
盆地の閉鎖性が、こうした相互扶助の精神も育んできたのかもしれません。