山梨の「みみ」とは
山梨の名物と言えば、郷土料理の「ほうとう」が有名です。
ほうとうは、味噌ベースの汁にかぼちゃを中心とした野菜をふんだんに盛り合わせ、小麦粉を使った麺が平べったい、というのが特徴です。
山梨では、ほうとうというのは割と頻繁に食される家庭料理でもあります。
一方、ちょっと聞き慣れないかもしれませんが、山梨には、同じく小麦粉を使用した郷土料理として、ほうとうに似た、「みみ」があります。
不思議な名前の郷土料理「みみ」。果たして、みみとは、一体どういった料理なのでしょうか。
みみの由来
みみは、山梨県の富士川町にある十谷という地域の名物です。
十谷は温泉が有名で、柳川渓谷は、紅葉の名所としても知られています。
その地域でハレの日に食べる郷土料理が、小麦粉を練って小さく塊状にしたみみです。
画像 : 来福を願うハレの日の郷土料理「みみ」|株式会社まつの
ワンタンにも似ているこのみみですが、名前の由来としては、2つの説があります。
一つは、人の耳に形が似ているということから名付けられた、という説です。
確かに、形を見ると、耳に似ています。
もう一つは、農具の箕に似ていることから、福をすくいとるという意味と掛けて「ふくみ」となり、転じて「みみ」となった、という説です。
みみの歴史は古く、十谷の郷土料理専門店「つくたべかん」の従業員の方によれば、源氏の武将が、十谷で戦勝を祝って食したという言い伝えがあり、この地域でも祝い事として食べられるようになったと言います。
ただ、なぜ武将が「みみ」のように食べたのかということについては謎のようです。
みみの具材は?
この小麦粉を練った塊のこと自体もみみと呼びますが、みみ料理全般のこともみみと呼びます。
みみの料理の具材は、基本的にほうとうと一緒で、煮干しの出汁に、大根や人参、かぼちゃ、しいたけやごぼう、油揚げなどを、味噌で煮込みます。
ほうとうとみみの一番の違いは、やはりその形です。
麺になっているか、それともみみになっているか、という点が、ほうとうとみみの大きな違いとして挙げられます。
また、ほうとうは、「ケ(日常)」の料理として日常的に食されますが、みみは「ハレ(祝い事)」の料理としてお正月や家族が集まったときに食べる風習があります。
それから、十谷という限られた地域の食文化であるということも特徴と言えるでしょう。
画像 : 十谷の郷土料理専門店「つくたべかん」のみみ御膳|富士の国やまなし
十谷の「つくたべかん」では、味噌やそば、みみの手作り体験なども行なっています(「つくって」「たべて」「かんじる」というのが店の名前の由来だそうです)。
つくたべかん
◎定休日/木曜日(祝祭日の場合は翌日)
◎営業時間/午前10時~午後4時
(ラストオーダーは2時30分)
◎電話番号/0556-20-2020
◎ホームページ/富士川町ホームページ「つくたべかん」
◎アクセス/Googleマップを見る
実家では、祖母がほうとうを作ってくれることが多かったですが、ときどき、みみの日もあったことを覚えています。
以上、ほうとうに似た山梨の郷土料理「みみ」でした。