山梨の硬い桃

夏と言えば果物、果物と言えば山梨県。そして、山梨県の果物と言えば「桃」です。
山梨は、桃の生産量日本一で、僕も親戚が桃を育てていた影響で、夏になると毎年箱いっぱいの桃が届きました。
よく山梨県民のあるあるの一つに、「山梨県民は硬い桃が好き」という声があります。
山梨の友人と桃の好みについて語り合ったことがないので、周囲の声は分かりませんが、少なくとも我が家では硬い桃の取り合いでした。
もちろん、僕も硬い桃が好きです。
一見すると柔らかい桃のほうが熟していて甘いように思われるかもしれません。
しかし、硬い桃は別に未熟というわけではなく、むしろ新鮮で美味しいのは硬い桃のほうでした。
キッチンに置かれた大きな箱の外にまで香ってくる甘い匂い、たくさんの桃を眺めながら、絶妙な硬さの桃を選びます。
選ぶと言っても、これが桃の繊細で難しいところなのですが、桃は触れるとどんどん傷んでしまいます。
硬いかどうか確認しようと指で触れると傷むので、このジレンマに子供心ながら結構悩んでいた記憶があります。
そのため、硬いかどうか確認する方法としては、「見た目」で判断せざるをえません。
見分け方としては、皮の色が判断材料になり、皮が、綺麗な薄桃色や少し白っぽい色だと胸が踊ります。
両手でそうっとすくい上げるようにして持っていき、親がいる場合は皮をむいてもらいましたが、一人のときは水で洗って皮ごと切って食べます。
果物が硬いと言うと、未熟で渋い味を想像するかもしれませんが、桃は全くそんなことがありません。
みずみずしく、果肉に歯ごたえがあり、甘く、桃のイメージはこちらのほうが強かったです。
硬い桃が美味しい、というのは当たり前のことだと思っていたのですが、上京して他県の人たちと触れ合うようになってから、これが恵まれたことだったのだと初めて知りました。
桃は、あっという間に傷むので、硬い桃を食べるには鮮度が命です。
保存方法としては、冷蔵庫は使いません。
新聞紙で包み、風通しのよい冷暗所で常温保存します。それでも、数日であっという間に柔らかくなってしまいます。
そのため、硬い桃を食べるためには、実際に生産地に赴くのがおすすめです。
特に、理想で言えば、農園で桃狩りをし、一番鮮度の高い状態で食べるのが、もっとも美味しい食べ方です。
品種
それでは、硬い桃というのは、品種で違いがあるのでしょうか。
品種でも多少の違いがあり、特にシーズン遅めの晩生種(8月下旬から9月中旬に出荷される種類)は硬い傾向にあるようです。
- 川中島白桃
- あかつき
- 浅間白桃
- なつっこ
- 黄金桃
こうした桃が硬い桃の品種として有名です(この辺りは、お店のひとに聞いてみるとよいでしょう)。
一方、どの種類の桃でも、とれたての新鮮な桃は硬い桃の可能性が高いので、なるべく直売所で購入するか、鮮度にこだわって送ってくれる通販を選びましょう。