甲州弁「ずら」の意味
山梨の方言である甲州弁は、語尾のボキャブラリーが豊富です。
語尾に添えられる甲州弁のうち、頻繁に使用され、山梨を舞台にしたドラマなどでも使われる有名な方言が、「〜ずら」です。
山梨では、若者でも割と一般的に多くの人々が使っている代表的な方言の一つと言えるのではないでしょうか。
やるずら。
持っていくずら?
そろそろご飯ずら。
結構、なんにでも語尾につくのが、この「ずら」です。
意味は、辞書によれば、「推量」とあります。「〜だろう」といったニュアンスのようです。
ずらの語源としては、諸説あり、平安時代に貴族たちが使っていた推量の意味の「〜むずらむ」が由来とも言われています。
同じルーツに、「〜だら」があるようです(その後、関東で「〜だろう」になります)。
山梨では、「〜ずら」も「〜だら」も、両方とも使用します。
この「〜ずら」は、使いこなすのが難しいかもしれません。推量以外に、付加疑問文的なニュアンスの場合もあるからです。
たとえば、「やるずら」も、「まあ、彼は彼でなんとかやるずら」と言うと、「きっとやるだろう」という意味合いになります。
一方で、「このゲーム、おまん(お前)もやるずら?」と言うと、「(当然)やるでしょ?」といったニュアンスになります。
聞き分け方としては、語尾のイントネーションによって違いが分かります。
①うちでご飯を食べていくずら?↑(本人に尋ねるときなど)。
②うちでご飯を食べていくずら。↓(本人がいないときなど)
①は、息子が実家に帰ってきているときや、友人が遊びに来ているときなど、本人に尋ねる際に、「うちでご飯を食べていくでしょう?」という感覚で使います。
②は、たとえば、「あの子、ご飯どうするんだろうね」という話になった際に、「食べていくずら。」と使って、「きっと食べていくんでしょ」といったニュアンスになります。
そう言えば、推量(下)の「ずら」のあとに、謎の「に」がつく場合があります(「ご飯を食べていくずらに」)。この「に」の理由はよく分かりません。
また、使い方が同じかどうかはわかりませんが、静岡県や長野県でも「〜ずら」は使われるようです。
以上、山梨県の方言「ずら」の意味でした。